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スリーピースだより

2025/5/9

仕事が覚えられない・すぐ忘れる原因とは?覚えやすくする5つの工夫 – 自分に合った覚え方を見つけよう

「また忘れてしまった…」が続くあなたへ

職場で指示を受けたあと、すぐに手順が曖昧になる。覚えたと思ったことが、数分後には抜け落ちてしまう。何度も聞き返してしまい、申し訳なさや自己嫌悪でいっぱいになる。
こうした悩みを抱える方は少なくありません。とくに発達障害(ASD、ADHDなど)のある方にとって、仕事の覚えづらさや忘れやすさは非常に日常的な課題です。

この記事では、仕事が覚えられない・すぐ忘れてしまう原因を整理しながら、発達障害の特性を踏まえた対策を5つご紹介します。「どうして自分はこうなんだろう」という気持ちに寄り添いながら、少しでも安心して働けるヒントを見つけていただければと思います。

覚えられない・忘れてしまうのは、脳の特性によるもの

まず大前提として、「仕事が覚えられない」「すぐ忘れてしまう」ことは、本人のやる気や努力不足によるものではありません。発達障害のある方の場合、脳の情報処理の仕方に違いがあり、それが記憶の定着に影響を与えることがあります。

たとえば、以下のような理由が関係しています:

  • 短期記憶の弱さ
     一時的な情報(口頭での指示や流れ)を保持するのが難しく、聞いた直後でも抜けてしまう。
  • 注意のコントロールの難しさ
     周囲の音や動きに気を取られやすく、情報が入りにくい。
  • 情報の整理・構造化が苦手
     手順の全体像をつかみにくく、何が重要なのかの判断がしづらい。
  • 焦りや緊張による記憶の妨げ
     「また間違えたらどうしよう」という不安が先に立ち、記憶の定着を阻害してしまう。

これらの要因が重なり、「覚えられない」「すぐ忘れる」という現象として表れているのです。

1. 情報は“耳から”より“目から”入れるようにする

発達障害のある方の中には、聴覚よりも視覚優位の方が多く見られます。つまり、口頭で説明を受けるよりも、図・表・写真・動画など、視覚的に情報を得る方が記憶に残りやすいのです。

職場では次のような工夫を取り入れてみましょう:

  • 手順を図やチェックリストとして書き出す
  • スマートフォンでメモや写真をとる
  • 業務フローを自分なりに図解しておく
  • 説明を受ける際に、あらかじめメモの準備をしておく

耳からの情報だけでなく、視覚に置き換えるだけでも、理解しやすさは格段に変わります。

2. 情報は「小分けにして順番をつける」

「全部覚えなきゃ」と思うと、それだけで脳がパニックを起こしてしまうことがあります。
とくに、複数の手順や情報を同時に処理するのが苦手な方にとっては、“分割”が大切です。

  • 1つの作業を細かく分けて「ステップ化」する
     例:清掃 → ①道具の準備 ②作業内容の確認 ③掃除開始 ④終了処理
  • 「重要度」「順番」を目で分かるようにする
     例:付箋に番号をふる、チェックリスト化する
  • 一度に覚えようとせず、「今日はここまで」と範囲を決める

このように、“ひとまとめ”ではなく“ひとつずつ”に分けて取り組むことで、記憶の負担を軽くすることができます。

3. 忘れても困らない「しくみ」をつくる

記憶に頼らず、“忘れても大丈夫な環境”をつくることが、安定した就労の鍵となります。

  • タスク管理アプリや付箋を活用して、やることを視覚的に管理する
  • 「終わったら〇をつける」など、自分の進捗が見えるしくみをつくる
  • ミスや抜けを防ぐためのチェックリストを定着させる
  • 朝・昼・終業時に、メモを見返すルーティンをつくる

「覚えていない=できない」ではなく、「忘れても取り戻せる」「安心して思い出せる」しくみを整えることが、長く働き続けるためにはとても大切です。

4. ミスや忘れがあっても、自分を責めすぎない

仕事を覚えられなかったり、何度も聞き直してしまったときに、「また迷惑をかけてしまった…」「自分は社会不適合なんじゃないか」と落ち込んでしまう方も多いと思います。

ですが、記憶の苦手さは個人差があり、発達障害のある方にとっては“自然な傾向”でもあります。
そして、そういった特性を補うスキルや支援の工夫は、世の中にたくさんあります。

また、実際には“正確さより誠実さ”が評価される職場も少なくありません。
「忘れてしまうからこそ、確認を怠らない」
「すぐには覚えられないけれど、根気よく続けられる」
そういった姿勢を評価してくれる環境も、きっとあります。

5. 合わない仕事は“自分がダメ”なのではなく、“環境が合っていない”だけかもしれない

どれだけ工夫しても、何度やっても覚えられない…というときは、無理をして自分を職場に合わせようとしすぎているのかもしれません。

人にはそれぞれ、得意な業務や働き方があります。たとえば:

  • 一つの作業に集中する方が得意
  • 対人関係の少ない仕事の方が安心できる
  • 毎日同じ手順を繰り返す方が力を発揮できる
  • スピードより正確さを求められる環境が合っている

自分の特性に合う業務や職場環境であれば、「覚える」ことへのハードルもぐっと下がります。
「続けられないのは自分のせい」と思わず、「合わないだけだった」と視点を変えてみることも、働き方を見直す大切なステップです。


まとめ|「覚えられない」自分を受け入れたとき、道がひらける

「また忘れた」「覚えられなかった」と感じるとき、つい自分を責めたくなってしまいますよね。でも、それはあなたが誠実に取り組もうとしている証拠です。
忘れやすさは“欠点”ではなく、“特性”です。そして、それは工夫によってカバーできる部分でもあります。

無理に人と比べる必要はありません。あなたのやり方で、あなたのペースで。
自分に合った覚え方や仕事のスタイルを見つけていけば、「できる」が少しずつ増えていくはずです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 発達障害があると、なぜ仕事を覚えるのが難しいのですか?
A. 発達障害のある方は、短期記憶やワーキングメモリ(作業記憶)が弱い、情報の整理が苦手、注意がそれやすいなど、脳の情報処理の特性によって記憶の定着がしづらい場合があります。そのため、口頭での指示や複雑な作業手順を覚えるのが難しいことがあります。

Q2. 仕事で同じことを何度も聞いてしまい、上司に嫌がられます。どうしたらよいでしょうか?
A. 繰り返し確認することは、覚えようとする意志の表れです。負い目に感じる必要はありません。ただし、メモを取る、図にまとめる、自分なりの工夫を取り入れることで、同じ質問を減らせることもあります。また、「聞き方」を変える(例:「図で教えてもらってもいいですか?」)ことも、関係性を保つポイントです。

Q3. 一度にたくさんのことを教えられるとパニックになります。どう対応すればいいですか?
A. 情報を小分けにして処理することが大切です。「一度に説明されると混乱してしまうので、ステップごとに確認させてもらってもいいですか?」など、自分の特性を説明し、対応の仕方を提案することも有効です。可能であれば、1ステップごとにメモや図に整理して記録しましょう。

Q4. 自分の努力が足りないだけなのではないかと悩んでしまいます。
A. 努力が足りないのではなく、“努力の方向性”が合っていない可能性があります。発達障害のある方は、「人と同じやり方」で進めようとするほど苦しくなることがあります。むしろ、自分に合った方法を見つけることが、結果的にストレスを減らし、能力を発揮しやすくする近道です。

Q5. 自分に合う仕事や環境が見つかりません。どうすればいいですか?
A. 一度で“ぴったり”の仕事を見つけるのは難しいかもしれません。ですが、短時間の実習や段階的な職場体験などを通じて「合う・合わない」を確かめていくことは可能です。また、第三者と一緒に自分の特性や希望を整理することで、仕事選びの軸が見えてくることもあります。

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