休みがちな自分に不安を感じたら──復職後の“心を養う休日”のすすめ
「また休んでしまった…」
「せっかく復職したのに、ちゃんと通えない自分が情けない…」
適応障害からの復職後、体調が安定せずに休みがちになってしまうことは少なくありません。けれど、それを「甘え」や「怠け」と責めてしまうと、ますます心が苦しくなってしまいます。
本来、回復とは「スタートラインに戻ること」ではなく、「無理なく前に進める状態を整えること」。そのためには、休むことを後ろ向きにとらえるのではなく、休みを“心を養う時間”として活用する視点が大切です。
この記事では、休みがちな日々に不安を感じているあなたに向けて、回復期だからこそ必要な「有意義な休日の過ごし方」と、その意味をお伝えします。

なぜ復職後も休みがちになるのか──回復の過程としての「揺れ」
目次
適応障害は、ストレスによって心身のバランスが崩れる状態です。一度職場を離れて休養したあと、復職することはとても大きな一歩。でも、復職したからといって、すぐに以前のように働けるわけではありません。
環境への再適応や人間関係、再び責任を持つことへの緊張など、思った以上にエネルギーを使う場面が多く、体調が安定するまでには「揺れ」があります。
この「揺れ」は自然な回復のプロセスの一部であり、「またダメだった…」と落ち込むのではなく、「いまは調整中」と捉えることで、少しずつ前を向いていくことができます。
「休む=悪」じゃない時代にシフトしている
かつては、仕事を休むことに対して「根性が足りない」「社会人失格」などという風潮がありました。でも今は、社会全体が少しずつ変わりつつあります。
メンタルヘルスの大切さが認識されるようになり、「無理せず休むこと」も仕事を続けるために必要な判断だと考える企業も増えてきました。実際、定期的に休息を取ることで、長く働き続けられる人が増えているという調査結果もあります。
「休むこと」は、逃げでも、諦めでもありません。むしろ「長く働くための戦略的な選択」なのです。
有意義な休日のキーワードは「心を養う」
休むことに罪悪感を持ってしまうと、せっかくの休日も「何もしていない自分」に落ち込んでしまうことがあります。そんなときこそ、「休む=回復する時間」だと認識を切り替えることが大切です。
心を養う休日とは、以下のような時間です:
- 緊張やプレッシャーから解放されること
- 気分が安らぐ場所に身を置くこと
- 好きなもの・人・こととつながること
- 頑張らなくても「自分でいられる」時間を持つこと
「今日は何もしなくていい」と許してあげる日があっても構いません。静かな部屋でぼんやりする時間、好きな音楽を聴くこと、温かいものをゆっくり食べること…それらが心の回復を促す力になるのです。
休みの日におすすめの過ごし方5選
では、実際にどんな休日の過ごし方が「心を養う」ことにつながるのでしょうか?無理なく、少しずつ取り入れられる例を紹介します。
1. ゆっくり深呼吸しながら散歩する
朝や夕方など静かな時間に、近所の公園や住宅街を歩いてみましょう。自然に触れることで、自律神経が整いやすくなります。
2. 日記や感情のメモをつけてみる
頭の中を整理するだけでも心が軽くなることがあります。「今日はこんなことを感じた」「今はこんな気分」など、短くてもOKです。
3. 好きなことを“ほんの少し”やってみる
絵を描く、本を読む、音楽を聴くなど、「これ好きだな」と思えることに5分でも向き合う時間は、自分自身とつながるきっかけになります。
4. 温かい飲み物を飲みながらぼーっとする
お茶やスープなど、身体をあたためるものを飲むことで、安心感が生まれます。「何もしない時間」こそが心を回復させる力になることもあります。
5. 信頼できる誰かと短く話す
長時間でなくても、ちょっとだけ誰かと話すことで孤独感が薄れ、気持ちの整理にもなります。話す相手がいなければ、オンラインコミュニティも視野に入れてみてください。
周囲と比べず、“自分の回復ペース”を大切に
復職後、周囲の人が元気に働いている姿を見て「自分だけができていない」と感じてしまうことがあります。でも、他人と自分は違って当たり前。比べることで自分を追い詰めるのではなく、自分にとって「無理のないペースとは何か」を見つけていくことが大切です。
体調や心の状態は毎日変化します。「昨日は行けたのに、今日は行けない…」と責めるよりも、「今日は自分を守る日」と切り替えることで、長い目で見たときに回復が安定していきます。
不安を感じたら「次の一歩」を小さくしてみる
もし、「このままずっと休みがちだったらどうしよう」と不安になったら、いきなり大きく頑張ろうとせず、ひとつだけ“小さな次の一歩”を設定してみましょう。
- 朝決まった時間に起きてみる
- 午前中だけ職場に行ってみる
- 休んでも、その間に1つだけ家事をやってみる
無理のない範囲で自分を動かすことで、「自分にはできることもある」と感じることができます。それが回復の実感につながり、自信を少しずつ取り戻すきっかけになります。
おわりに
復職後、思うように通えず「また休んでしまった…」と自分を責めることもあるかもしれません。でも、回復には時間が必要です。そしてその時間は、ただ過ぎていくものではなく、あなたの心と体を整える「大切なプロセス」なのです。
休みがちな自分に不安を感じたときは、「自分を養う休日」に視点を変えてみてください。あなたが心から安心できる時間を、少しずつ増やしていきましょう。それが、あなたらしい働き方へとつながる第一歩になるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q. 復職したのにすぐ休んでしまい、周囲の目が気になります。どうしたら?
A. 周囲の目は気になりますが、まずは自分の体調と向き合うことが優先です。「今は調整期間」と認識し、自分を守ることを大切にしてください。
Q. 休んでいる間、何もできずに自己嫌悪になります。どう乗り越えれば?
A. 「何もしない時間」も心に必要な栄養です。まずは「休んでいること自体に意味がある」と受け入れることから始めましょう。
Q. このまま仕事が続けられないのでは…という不安が消えません。
A. 将来のことが不安になるのは自然なことです。不安なときこそ「今できること」に目を向け、小さな達成感を積み重ねていくことが大切です。