発達障害と優先順位のつけづらさ|全部が大事に思えて動けないときの対処法 – 心を軽くする小さな工夫から始めよう
「やらなきゃ」が頭の中で渋滞しているあなたへ
今日やること、今週中に片づけたいこと、ずっと気になっているあのタスク。どれもこれも大事に思えて、どれから手をつければいいか分からない。そんな状態が続くと、気持ちばかりが焦って、体は動かず、自己嫌悪のループに入ってしまうこともありますよね。
発達障害のある方は、物事を「重要度」や「緊急度」で区別するのが難しいという特性を持っていることがあります。そのため、「優先順位がつけられない」「全部やらなきゃと思ってしまう」といった悩みを抱えやすいのです。
この記事では、「全部が大事に見えて動けなくなる」というお悩みに寄り添いながら、心を軽くするための小さな工夫をご紹介します。自分を責めずに、少しずつ前に進むためのヒントを見つけていただけたら嬉しいです。

優先順位がつけられないのは「怠け」ではありません
「なんでこんなこともできないんだろう」「周りの人はちゃんとやれているのに」
そんなふうに自分を責めていませんか?
優先順位をつけるのが難しいのは、性格や意欲の問題ではなく、脳の情報処理の仕方に違いがあるからかもしれません。発達障害のある方は、「目の前の情報を同じ重さで捉えてしまう」「整理が追いつかない」といった特性を持つことがあります。
そのため、やるべきことを頭の中で順番に並べることが難しく、すべてが同時に押し寄せてきて、思考が止まってしまうのです。
これは“甘え”ではありません。脳の仕組みによるものなのです。まずは、「これは私の特性なんだ」と認めてあげることから、優しさが始まります。
「思考の渋滞」を緩めるには、まず書き出してみる
頭の中にある“やらなきゃリスト”は、見えないからこそ余計に混乱しやすくなります。まずは、気になっていること・やるべきことを、ぜんぶ紙に書き出してみましょう。
・仕事で言われていること
・日常生活で気になっていること
・先延ばしにしている用事
・「そろそろやらなきゃ」と思っていること
いきなり整理しようとしなくて大丈夫です。ただ、思いつくままに全部出してみてください。それだけでも、頭の中のモヤモヤが少し整理されて、気持ちが落ち着いてくるはずです。
書き出したあと、「今日中じゃなくてもいいこと」や「今すぐじゃなくていいこと」に印をつけてみましょう。自然と「今やるべきこと」が少し見えやすくなってきます。
一つに絞れないときは「小さな基準」で選んでみる
「重要度」で選ぼうとすると、すべてが重要に思えて決められない…ということもありますよね。そんなときは、別の“選び方の基準”を使ってみるのもおすすめです。
たとえば:
- 所要時間が短いものからやる(5分で終わることなど)
- 気が乗るものからやる
- 体力的にラクなものから始める
- 他人に迷惑がかかりやすいものを先に済ませる
こうした「小さな基準」で順番をつけると、タスクを前に進めやすくなります。たとえ“最重要なこと”から手をつけられなかったとしても、「ひとつ終わった」という事実が、心に少しずつ余裕を作ってくれます。
完璧を求めない。スモールステップで「できた」を積み重ねる
「全部終わらせなきゃ」「完璧にやらなきゃ」と思うと、それだけで重たくなって、動けなくなってしまうことがあります。
そんなときは、「とりあえず5分だけやってみよう」「1個だけでもOK」と、自分にやさしいハードルを設けてみてください。
たとえば:
- 書類を書くのがつらい → 名前だけ書いてみる
- 洗い物がたまっている → コップ1個だけ洗う
- メールを返せていない → 件名だけ読む
小さな達成でも、「できた」という感覚はちゃんと自信につながります。どんなに小さな一歩でも、それは確かな前進です。
優先順位を「見える化」してくれるツールを活用する
頭の中だけでタスクを整理するのが難しい場合は、外に出して“見える化”することがとても効果的です。
おすすめの方法やツール:
- 付箋に1タスクずつ書いて、机に並べる
- ToDoリストアプリを使って、並び替えながら整理する
- スケジュール帳に、時間ごとのタスクを書いてみる
- 優先度を「高・中・低」に色分けしてみる
「どれを先にやるか」が視覚的に分かるだけで、心の負担はぐっと減ります。
そして何より、「整理している自分」や「見えるように工夫している自分」を、しっかり褒めてあげてくださいね。
自分に合ったペースと働き方を見つけることも選択肢のひとつ
もし今、職場や家庭で「優先順位をつけて動けない自分」に対して責められていたり、苦しくなっていたりするなら、それは環境のほうが合っていないのかもしれません。
すべての人が、マルチタスクでスピーディーに働けるわけではありません。一つずつ丁寧に取り組んだり、考えてから行動するタイプの人もいます。
自分のペースで働ける職場、支えてくれる人がいる環境、安心して話せる場所。そうした“自分に合った働き方”を見つけていくことも、心を守る大切な選択肢です。
「優先順位がつけられない」と感じることは、あなたが“すべてを大切にしようとする”やさしさの表れでもあるのかもしれません。
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