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スリーピースだより

2025/5/12

「甘えてるだけに見えるのかな…」発達障害のある私が仕事を続けられない本当の理由

 

「どうしてすぐ辞めてしまうの?」「もう少し頑張れないの?」——何気ない言葉に、心がざわつくことがあります。発達障害を抱える私にとって、仕事を続けるというのは「がんばり方」の問題ではなく、そもそも「うまくかみ合わない」ことの連続でした。

周囲は普通にできていることが、自分にはどうしても難しかったり。努力しても空回りしてしまったり。そんな日々の中で、「甘えている」と見られてしまうことが、何よりも苦しかったのです。

今回は、そんな私自身の経験と、同じような悩みを抱える方に向けて、「仕事が続かない本当の理由」と、そこから見えてきたヒントをお伝えできればと思います。


理解されにくい「できないこと」と、わかってもらえない苦しさ

私が最初につまずいたのは、報連相(報告・連絡・相談)がうまくできなかったことでした。頭の中で状況を整理するのに時間がかかり、言葉にして説明するのがとても難しかったのです。

けれど、職場の人たちには「話してくれない」「やる気がない」と受け取られてしまいました。自分では真剣に悩んでいるのに、それが伝わらない。このギャップが、精神的にとてもきつかったです。

「なんでそんなこともできないの?」という空気に、何度も心が折れそうになりました。


自分でも自分がわからない──「できる日」と「できない日」の波

発達障害の特徴のひとつに、「日によってパフォーマンスに波がある」という点があります。集中できる日もあれば、脳がフリーズしたように何もできなくなる日もある。それなのに、周囲は「昨日はできてたよね?」と、当然のように求めてきます。

自分自身でも「昨日できたのに、なんで今日はできないの?」と、情けなさとイライラが募っていきました。体調不良のように見えるものではないぶん、「怠けている」と誤解されやすい。そのたびに、「自分が悪いのかな」と自分を責めるようになっていきました。


「気にしすぎ」と言われて、ますます追い込まれる

些細なことでも落ち込んでしまう自分に、「気にしすぎだよ」「もっと気楽にいこうよ」と声をかけてくれる人もいました。でも、それがまたプレッシャーになるのです。

「気にしないようにしなきゃ」と思えば思うほど、余計に気になってしまう。繊細さや感覚過敏といった発達特性を「性格の問題」とされてしまうと、自分の存在そのものが否定されているような気持ちになります。

「私が甘いのかな」「ちゃんとしなきゃ」と無理を重ねて、ついには心も体も限界に達してしまいました。


周囲と比べない「自分のペース」を取り戻すまで

転職を繰り返す中で、ようやく気づいたことがあります。それは、「周囲と同じように働けない自分」を否定するのではなく、「どう働いたら自分らしく続けられるか」を探す視点の大切さです。

たとえば、ミスが減るようにチェックリストを使う。集中しやすいように静かな環境を選ぶ。疲れを感じる前に休憩する。「こうするべき」に縛られず、「こうしたらラクかも」を試していくことで、少しずつ安心できる働き方が見えてきました。


環境を変えることで見えてくる「自分の力」

苦手なことばかりに囲まれていると、自分には何もできないと感じてしまいます。でも、環境を変えてみたら、自分の得意なことが生きる場面もあるのだと実感できました。

たとえば、コツコツ作業を黙々とこなす仕事、クリエイティブな発想が求められる仕事、人とのやりとりが少ない職場。自分の特性を「合わない場所」で見るか、「活かせる場所」で見るかで、大きく印象は変わります。

「仕事が続かない」ことを「失敗」ではなく、「合わない場所を見つけただけ」と考えてみると、少し心が軽くなりました。


誰かに話してみることから始まる「次の一歩」

自分ひとりで悩んでいると、どうしても視野が狭くなってしまいます。「仕事が続かないのは私のせいだ」と思い込んでしまう前に、一度、話を聞いてくれる誰かに相談してみることをおすすめします。

専門的なサポートを受けられる場もありますし、同じような経験をしてきた人と出会えることもあります。「わかってくれる人がいる」と感じられるだけでも、次の一歩を踏み出す力になるのです。


おわりに

発達障害があるからといって、働くことをあきらめる必要はありません。けれど、「みんなと同じように働く」ことができない場合があるのも事実です。

そんなときは、「なぜできないのか」を責めるのではなく、「どうすれば自分らしく働けるのか」を考えてみてください。あなたの感じている「苦しさ」には、ちゃんと理由があります。そして、その理由を理解してもらえる場や人も、必ず存在します。


よくある質問(FAQ)

Q. 「仕事が続かないのは努力不足」と言われたとき、どう考えればいいですか?
A. 努力では解決できない特性があることを自覚することが第一歩です。「できない」ことには理由があります。自分を責めず、「どんなサポートがあれば続けられるか」に意識を向けてください。

Q. 周囲に発達障害を打ち明けるべきでしょうか?
A. 無理に打ち明ける必要はありません。ただし、必要な配慮や調整をしてもらうためには、信頼できる人や環境に伝えることが助けになる場合もあります。

Q. 転職を繰り返しても大丈夫でしょうか?
A. はい、自分に合う職場を探す過程だと捉えてください。同じ場所で続けることだけが正解ではありません。経験を重ねながら、自分にとって「無理のない働き方」を見つけていくことが大切です。

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