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スリーピースだより

2025/8/14

適応障害から復職するのが怖い…「職場に迷惑をかけるかも」と感じたときの心の整え方

適応障害をきっかけに休職した後、復職を見据えるとき、多くの方が胸に引っかかる思いがあります。「また職場に迷惑をかけたらどうしよう」「自分のせいで同僚に負担がいくかもしれない」…そんな不安が、復帰をためらわせる大きな壁になることがあります。

けれども、その「迷惑をかけるかもしれない」という恐れが、必ずしも現実になるわけではありません。そして、その気持ちを抱えるあなた自身を責める必要もありません。復職には準備も支援もあります。この記事では、適応障害を経験した方が「迷惑をかけてしまうかも」という不安を乗り越えながら、心を整えて復帰に向かって歩み出すための視点とステップを、専門性の観点からご紹介します。

なぜ「迷惑をかけるかも」と思ってしまうのか

復職前に「迷惑をかけたくない」という思いが湧くのは、ごく自然な心理です。ただ、これが過度になると心の負荷が大きくなり、復帰そのものを難しくします。まず、その思いがなぜ起こるかを理解することが、整えるための第一歩です。

  • 自己責任意識の高さ
     もともと責任感が強い方は、自分の状態や影響を過剰に否定的に捉える傾向があります。
  • 過去のミスや不具合記憶のトラウマ
     「前も迷惑をかけてしまった」「同僚に負担をかけたと感じた」という経験が、未来への不安を強める。
  • 完璧主義・期待の高さ
     「元通りに働けなければ意味がない」と思ってしまうと、些細なズレでも自責感が湧きやすい。
  • 他者視点の過度な想定
     「相手はこう思っているかもしれない」という思考がマイナス方向に膨らみ、不安や自己否定が強まる。

このような認知的傾向は、適応障害期を経験した後には特に敏感になりがちです。まずは、その思考スタイルを「感じ方の癖」として認識することが、気持ちを整理する土台になります。

不安を整理するためのステップ:思考を客観視する

「迷惑かも」という感覚は、心の中でぐるぐると繰り返されやすいものです。それをその場で止めたり、軽くしたりするためには、思考を客観視する方法が有効です。以下のステップを参考にしてみてください。

  1. ノートや紙に書き出す
     「職場に迷惑をかけるかも」という思いを書き出すことで、頭の中の渦を視覚化できます。どの場面が一番怖いのか、具体的に言葉にしてみると、思いが整理されやすくなります。
  2. 思考の歪みを認識する
     例:「〜すべき」「〜でなければならない」「〜かも」という表現には、思考の歪み(過度な一般化、白黒思考、未来予測など)が含まれやすいです。書き出した後、「別の見方はないか?」「確実か?」と問い直してみましょう。
  3. エビデンスを探す
     「前回、迷惑をかけた実例はあるか?」「そのとき相手はどう反応したか?」と過去の事実を振り返る作業は、不安の根拠をチェックする手がかりになります。
  4. 思考を中立化する表現に変える
     たとえば「迷惑をかけるかも」→「支援が必要な可能性がある」「サポートをお願いする機会があるかもしれない」など、ニュートラルな言葉に置き換えてみましょう。

こうしたステップを通じて、不安そのものを“事実”と“思考”に分けて扱う練習を積むことが、心の余裕を取り戻す助けになります。

心のベースを整えるためにできるセルフケア

復職に向けて整えるべきは、思考だけではありません。毎日の心身ケアが、復帰後の安定感を支えます。以下は実践しやすいセルフケアの方法です。

  • 定期的な休息と睡眠リズムの確保
     睡眠の質を整えることは、感情制御やストレス耐性に直結します。
  • 軽い運動や体を動かす習慣
     ウォーキング、ストレッチ、ヨガなどは、心・体両面のバランスを整える効果があります。
  • リラックス法の導入
     呼吸法、マインドフルネス、好きな音楽、香りを使ったリラクゼーションなど、自分に合う方法を一つでも持っておくと有用です。
  • 支えになる人との会話
     家族・友人・支援者・相談窓口など、安心して話せる相手と定期的に対話することは、安全基地になります。
  • 小さな成功の記録
     復帰に向けた準備段階でうまくいったこと(体調を保てた、外出できたなど)を記録し、それを振り返ることで自信を育みます。

これらはすべて「予防的支援」として機能し、復職後のストレス耐性や回復力を高める土壌になります。

復帰準備の設計:段階的アプローチを取る

いきなりフルタイム勤務へ戻るのではなく、段階的な復帰設計を行うことが、迷惑感を抑えつつ安定性を高めるためには極めて重要です。以下のステップを検討してみてください。

  • 短時間勤務からスタート
     まずは週数時間、あるいは1〜2日の勤務から始め、体調や適応を確認しながら拡大していく。
  • 業務範囲を限定する
     最初はルーチン業務や定型業務に絞り、変動要素や対人対応の多い仕事は徐々に慣らしていく。
  • 試用・トライアル期間を活用する
     試運転的な期間をもうけてもらい、その間に合意された支援(指導・フォロー・調整など)を実施する。
  • 定期的なフォローアップを設定する
     復帰後、一定期間は面談やチェックインの場を設け、「負荷調整」「悩み相談」ができる時間を確保する。
  • 復帰プランを事前に共有する
     上司や同僚に、復帰スケジュールや配慮希望(業務量、休憩、質問対応など)を共有し、理解を得ておくことも重要です。

こうした設計により、いきなりの高負荷に耐える必要がなくなり、迷惑意識を軽減しながら自分のペースで復職を進められます。

復職後に“迷惑を減らす”ための対応とコミュニケーション

復職してからは、実際に職場に馴染んでいく過程で、不安や迷惑感が湧くことがあります。以下はそれを最小化するための対応策とコミュニケーションの工夫です。

  • 進捗共有や見える化
     適宜「今日したこと」「明日予定していること」をチームと共有することで、不要な不安や疑念を減らせます。
  • 小さな報告と質問の癖づけ
     何か難しい場面や迷いがあるときは、早めに相談や確認を入れる習慣をつくると誤解を防げます。
  • フォロー体制や相談ルートの明確化
     あらかじめ「困ったときは誰に聞くか」を決めておくと、心理的な負荷が下がります。
  • フィードバックを受け入れる姿勢
     改善提案や注意があったときも、「次に活かす」意識で捉えるように心がけると、関係性が良くなりやすいです。
  • 無理な自己犠牲を避ける
     「好かれたい」「迷惑をかけたくない」という気持ちが先行して無理をしすぎないよう、自分の体調・メンタルの信号を見逃さないこと。

こうした方法を積み重ねることで、復帰後も周囲への影響を最小にしながら、自分らしく働き続ける基盤を築いていくことが可能です。


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