「「何から手をつけていいか分からない…」優先順位がつけられない発達障害のある方へ– 日常生活や仕事での困りごとと、その対処法とは?
もしかして私だけ?「全部大事」に感じてしまうあなたへ
やることがたくさんあるのに、どれから手をつけたらいいのか分からない。気づいたら時間ばかり過ぎていて、自己嫌悪でいっぱいになる。そんな経験はありませんか?
発達障害のある方の中には、「優先順位をつけること」がとても難しいと感じる方が多くいらっしゃいます。それは怠けているわけでも、やる気がないからでもありません。脳の特性によって、物事を整理したり順序立てたりするのが苦手な傾向があるのです。
この記事では、日常生活や仕事の場面で「優先順位がつけられない」と感じる方に向けて、その困りごとと、今日から少しずつ試せる対処法をご紹介します。あなたが少しでも「ラクに生きられる方法」を見つけられるよう、お手伝いができたらうれしいです。

「やらなきゃ…」と思うほど、動けなくなってしまう理由
やらなければいけないことがいくつもあるとき、発達障害のある方は「全部が同じくらい重要」に感じやすい傾向があります。そのため、優先順位をつけて一つずつ片付けていくということがとても難しく、結果として「全部中途半端」「何も進まなかった」ということになりやすいのです。
また、「どうせうまくできない」「前も失敗した」という記憶がよみがえると、さらに気持ちが落ち込んでしまい、ますます手がつかなくなることも。
これは、決してあなたの意志の弱さではありません。脳の中の情報処理の仕方が少し違うだけで、適した方法を見つければ改善できる可能性は十分にあります。
優先順位がつけられないことで起きやすい困りごととは
実際に、「優先順位がつけられない」ことで起こる困りごとには、こんなものがあります。
- 仕事の締め切りを忘れてしまう、間に合わない
- 日常生活でも、「何を先にやるべきか」で悩んで行動が遅れる
- タスクが溜まりすぎてパニックになる
- 人に「何度言ってもできていない」と注意されてしまう
- 自分でも自己管理ができていないことに落ち込み、自己否定してしまう
こうした状態が続くと、社会生活や人間関係にも影響が出てきてしまいます。
でも、少しずつ整理していくことで、こうした困りごとをやわらげることはできます。
小さな「見える化」から始めてみよう
優先順位をつける力をサポートしてくれるのが、「見える化」です。頭の中で考えているだけだと、あれこれの情報が混ざり合ってしまい、混乱してしまいやすくなります。
まずは、今やるべきことを紙やアプリなどに書き出してみましょう。完璧に整理しようとしなくても大丈夫です。「やらなきゃと思っていること」をとにかく全部出すことから始めましょう。
その中から、「期限があるもの」「今日中にやらなければならないこと」などにマークをつけて、まずはその一つだけに集中してみてください。
おすすめのツール:
- 付箋やメモ帳でのリスト化
- スマホのタスク管理アプリ(例:Google Keep、Todoistなど)
- タイマーを使って「〇分だけやる」と時間を区切る
「できた」を積み重ねて、自信につなげる工夫
「優先順位をつけて行動できた」「今日やるべきことが終わった」という体験は、自信につながります。
はじめのうちは、タスクを小さく分けて、達成しやすい状態をつくってみましょう。
たとえば、「部屋を片付ける」ではなく、
- 「机の上のペンを片付ける」
- 「床のゴミをゴミ箱に捨てる」
のように、数分で終わる行動に分けることで、達成感を感じやすくなります。
また、できたことにチェックマークを入れたり、「できたリスト」を眺めるだけでも、気持ちが軽くなることがあります。小さな達成感の積み重ねが、やがて「自分でもやれる」という感覚につながっていきます。
周囲に頼ることも「自立」の一つです
一人でなんとかしなきゃ…と思うほど、苦しくなってしまうこともあります。
でも、周囲に助けを求めることは、「自立していないこと」ではありません。むしろ、自分の状態を把握し、適切なサポートを活用することこそ、本当の意味での自立につながるのです。
たとえば、
- 日々の予定を一緒に整理してくれる支援者や相談相手
- 就労や生活に関するアドバイスをくれる専門スタッフ
- 同じ悩みを持つ人とのグループやSNSでの交流
など、いろいろな形の支えがあります。「誰かに話すだけで気持ちが楽になる」ということも少なくありません。
あなたの「やりたい」「できた」が増える未来のために
優先順位がうまくつけられないと、「私はダメなんだ」と思ってしまうかもしれません。でも、それはあなたの個性の一つであり、工夫次第でやりやすくできるものでもあります。
今日から少しずつ、「できる方法」を探していきませんか?
無理をせず、苦しくなったら立ち止まりながらでも大丈夫です。あなたには、あなたのペースがあります。そして、支えてくれる人や場所も、きっとあります。
「うまくいかない日があっても、また明日がある」
そんなふうに、自分自身に優しくなれる日が少しずつ増えていきますように。
合わせて読みたい
無料相談・見学・体験を随時行っています。
あなたの障がいの特性に合わせて、さまざまなケースを考慮しながら対応させていただきます。